老化は治療できる病
老化は病気です。病気ですから治療することが出来ます!って結構ビックリしませんか?
なに言ってるんだよ、老化はどうしようもないことで、病気とは全然ちがうだろう!だって年取っていても病気知らずで元気な老人もいるじゃないか!・・・と思われる方も多いでしょう。
でもこの突拍子もない言葉の発信源は、世界的な老化研究の権威とされる米ハーバード大学医学大学院遺伝学教授 デビッド・A・シンクレア(David A. Sinclair)氏なのです。
その氏の著作で、世界的なベストセラーになったのが「LIFE SPAN」(ライフスパン)です。
この本について氏は、老化は治療できる病であり、科学の進歩により多くの病気が治療出来る様になったのと同様に、老化も治療出来る様になっていく。現に実験室では老化を遅らせる方法を把握出来ている。と述べており、「肉体の面でも精神の面でも、実際に若返る時代は必ず来る」と書かれています。
本はとても分厚く、文字も小さめなので読むのはちょっと大変ですから、Youtubeで中田敦彦さんが解説してくれているのでそちらで概略をつかんで下さい。
若返りのカギはDNA?
英国バブラハム研究所の研究チームで、京都大学の山中教授が開発したIPS細胞の技術を使い、皮膚細胞を「30歳若返らせる方法」を発見したとのニュースがあるが、IPS細胞技術を使って培養した物だと、移植すると言うような方法になるかと思うので、一般的に広く利用出来る様な技術ではなさそうだし、まだまだ実用という段階にはほど遠いかと思われます。
今、若返らせるためにはまず老化の原因を突き止めないといけませんが、最近は研究が進んできており、DNAに関係していると言うことがほぼ分かっています。
DNAレベルの損傷のことを老化と言い換えても良いのではないかという話もあるくらいです。
ですので、老化防止すなわちアンチエイジング、もっと進んで若返り、すなわちリバースエイジングには、いかにDNAの状態を良い状態に保つのか、あるいは元に戻すのがの技術が求められているのでしょう。
DNAはスイッチの集まり
遺伝子は親から受け継いだ物で、一生涯変わる事がない。というイメージを持っている人は古い人で、最近の若い人は(25歳以下くらい?)学校で「遺伝子は環境によって状態が変わる」と教えられています。
遺伝子であるDNAは様々な機能をコントロールする2万数千個のスイッチの集まりの様な物だと言われています。
このスイッチの状態が加齢・老化と共にだんだんと乱れてきて、本来の状態出なくなることが様々な老化や病気の原因であると考えられる様になってきました。
この「DNAスイッチ」という考え方は、NHKスペシャル「“DNAスイッチ”が運命を変える」という番組でも取り上げられ、先端の科学においては遺伝子に作用する、遺伝子をコントロールする方法の探求が大きなテーマとなっています。
ニュートリゲノミクス
ニュートリゲノミクスという言葉をご存じでしょうか?
和訳すると「遺伝子栄養学」という言葉になります。これは食品などの栄養素が遺伝子に対してどの様に作用するかの科学で、最近では医学・薬学系の大学でカリキュラムに組み込まれています。
従来の栄養学とは全く異なる視点で栄養素をとらえているのも、DNAの働きが健康や老化に大きな影響を与えており、従来の栄養学の栄養学で考えられる身体に対する作用も、DNAのスイッチの状態により大きく変動することが分かってきたからです。
これからは、老化の問題を考える上でニュートリゲノミクスの視点が益々重要になって来るでしょう。
もっと言えば、その点を考慮しない栄養学は完全に時代遅れの物になって来つつあるとも言えます。